スマホ・ゲーム依存症の話

スマホ・ゲーム依存についての講演を聞きに行った。友人の子供が「ゲーム依存」だと聞いていたので気にかけていた。区役所などの公的機関に相談に行っても糸口が見いだせず、一人で抱え込んで途方に暮れ、くたびれ果てていたので一緒に行くことにした。
講師は久里浜医療センターネットワーク依存治療研究部門の精神保健士・前園真毅氏。
講演を聞くまで、インターネットゲームについてよく知らなかったが、初めてその実態を知って驚いた。ゲームをする人たちは、ネットの世界に自分の居場所をみつけているのだという。現実世界の、学校や友人、進学就職、家族との関係のストレスつまり、わかってくれない敵に対して、ネットの世界では自分が認められ、注目、賞賛、共感してくれ・・・わかってくれる味方がいて、ストレスが発散でき、自己実現できる・・・らしい。ゲームをしたことのない私には知らない世界がそこにあるのだ。ならば、引きこもってもネットの世界に入り込んだ方が楽だろう。辛いことばかりの毎日だと、辛さを乗り越えて初めて、達成感や幸福感が得られるなんて経験をしたことがないのかもしれない。「孤独」を感じた時にFBで「いいね」をたくさんもらったら自分を認められたような気がするのと同じなのか。「独りぼっちではないんだ。」と思えることで生きることができる。インターネットは私たちに居場所を与えてくれることもある。但し、ずっと架空の世界に漬かっていると、スクリーンから目を離せなくなり、じわりじわりと、時に急激に自分でもわからないうちに病気になっていく。イライラが多くなり、他のことはやる気がなくなっていく。学校に行けなくなって、大切な脳、体、心の成長の時間を失っていく。10代の成長機会は二度と戻ってこないのに。
講演会の参加者はさほど多くはなかった。小中学校の先生方に研修で参加させたらよいのに・・と思うのだが、まだ小中学校では深刻な問題ではないのだろうか。
講演の後の質疑応答の中で、友人は自分の子供の実態を話し「どうしたらよいのか」と質問した。現段階では、国としても治療機関としてもまだ研究段階、若しくは解決策を模索中なのだろうか。講演者から「私見ですが、何とかしようとする家族がいる限り、時間はかかるが解決します」という言葉を頂いたことがせめてもの救いだった。ありがたいことに、講演終了後、多くの関係機関の方から声をかけて頂いた。「あなたが心配です。あなたと同じ悩みを持つ他の家族と出会える家族会などに参加するとよいですよ」とのアドバイスも。
講演終了後、友人と話す中で「eスポーツ」について触れた。が・・「何それ?」という。eスポーツとはデジタルゲームの対戦競技だ。最近は海外ドラマにも競技のシーンが出てくる。今月19日、熊本eスポーツ協会はeスポーツの部活動がある熊本市千原台甲高校と心の健康調査に関する連携を締結したそうだ。「ゲームやインターネットへの依存の実態を把握し、eスポーツ界の健全な発展に生かす」らしい。
IR法が成立するまでギャンブル依存症については重大視されていなかった。恐らく政府にとっては今でも「対岸の火事」なのだろう。子供のゲーム依存に気づき、家族が途方に暮れているという実態があるからこその今回の講演会なのだろうが、一日でも早く何らかの支援の手立てがほしいものだ。
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